後輩がブログで日本企業(上場企業)の低収益率(ROEが低い)を話題にしていたので、思うところありもっと深刻なローカル中小企業の低収益率について。人件費や運送費などが上昇している中で採算が悪化しつつあり、社員は有給休暇なんて碌に取得できません。

 

速攻性が高い処方箋はIT活用です

 

ユニークスのお客様は、比較的若い経営者で元気が良い、チャレンジマインドの高い前向きな会社があります。そうした「ベンチャー企業」といえるようなところでは、経理や人事のようなバック作業はもちろん、内外コミュニケーション、営業やマーケティングといった多岐にわたるITツールを試されています。(まぁ、ベンチャー企業ではITが使えても売上があまりに少なくて低収益率なんですが・・)

 

今回は、そういった会社でのITツールの利用をフィードバックして、まだ活用が進んでいない中小企業に導入をすすめたいツールを取り纏めました。

 

ひと昔前なら最低でも数百万円から数千万円以上はしたシステムよりもすばらしい業務システムがこれらの組み合わせで作れます。これらのサービスはすべて無料や月額数百円~数千円程度なので、ランニングコストを計算してみても驚かれることでしょう。

 

 

 

社内ネットワークのクラウド化:G-Suite(Google)

社内のパソコンがスタンドアローンで連携していない場合は、情報資産の共有化のための基盤整備が必要です。

そこで、社内LAN・サーバーについて、クラウド化を行います。

 

GoogleのS-Suiteは、オフィスソフト、ドメイン管理、Gメール(各従業員に付与するIDへ)、共有ドライブ、ハングアウト(会議)、共有カレンダー及びWordpress(Webサイト)という形で、社内LANを置き換えられるグループウェアが備わっています。比較対象はOffce365(マイクロソフト)、国産ではkintone(サイボウズ)でしょうか。

 

類似サービスは複数ありますが個々の機能についてあれこれ比較というよりも、世界標準(デファクトスタンダード)なので他社のサービスと連携が早く安定的、また利用者が多いことから不具合が少なくリスクが低いという点から、私のおすすめはクラウドならG-suite。

 

 

 

しかし、既にドメインやメールアドレス、共有カレンダーといった基盤がしっかり運用されている場合は、Offceソフトのコストを付け替えることができるOffce365でしょうか。G-suiteの一部であるオフィスソフトは、複数人での編集など大変便利ですが、ExcelやWordの完全代替にはなりませんから別途の購入は必要ですが、Office365にはサブスクリプションで利用権が含まれています。

 

情報伝達をクラウド化:Eメール→Line→Slack

内線電話、Eメールで連絡を取り合ったりデータを共有している場合には大変に非効率な状態にあるのですが、当人たちは気付かないもの。シニアの方でも最近はLineのアカウントをほとんどの方が持っていますが、そこで便利さを実感していただいてから、段階的にビジネス向けチャットツールのSlackに導きます。

財務会計システムをクラウド化:PCソフト(FX、弥生会計、勘定奉行)→freee

財務会計システムは他のすべてのシステムと連携できますから最初に手をつけるべきで、こちらも日本で一番シェアが高いfreeeにします。MoneyFowardもOKですが、freeeとMF以外のPCソフトのベンダーが提供する「クラウド会計」は流行に乗り遅れないために冠だけ付けた偽物なのだという哀しい現実があります。

 

 

この数年進化を続けて、freeeはもはや記帳を行う会計ソフトではなく、請求や支払、資金繰り管理、売掛金管理、固定資産管理、人事労務といったバックオフィスの統合システム(ERP)と位置づけられ、従来のPCソフト型とは差が開く一方です

 

これに、Airレジ(後述)との連携セットで売上分析や在庫管理Slackとの連携セットで経費精算G-Suiteとの連携セットで領収書類の電子化ができます。

ハードとして、ScansnapやAirペイのためのiPad類を置きます。デュアルモニターなど環境整備も必須ですね。

 

POSシステムや在庫管理システムの導入:Airレジ(リクルート)

BtoCならばをまずこれを導入します。このサービスは店舗のレジだけではなく、在庫管理、レジットカードや電子マネーの導入(Airペイ)可能です。レジアプリもクラウド会計と同じように、近年は競争が激しいサービスでしたがAirレジは後発ですが利用者が多いですし、ベンチャー企業ではなくリクルート社が運営していることからくる安心感があります。

 

 

 

その他のおすすめITツール

G-suite × Slack  × freee ×  Airレジ

以上で十分な業務革新が得られそうですが、これに必要に応じて下記のツールを順次検討も支援していきます。

 

SmartHR:人事労務ファイルを一括管理できて、その分野では利用している会社が多いサービスです。

Zoom:社内外とのネットミーティングや1対多人数の講義形式の配信機能。こちらは相手にインターネットを開いてもらうだけなので便利と評判です。

Skype:社内外とのIT電話やネットミーティングに使えます。G-Suiteにも同様の機能はありますが、社外とのコミュニケーションを行うならこちらの方が普及しています。

Chatwork:Slack(チャットコミュニケーション)の類似アプリですが、こちらを採用する会社も多いです。

Trello:タスク管理サービスで、チーム(課や係単位)の生産性向上に使えます。

Cloudsign:印紙や紙不要なクラウドによる契約書作成ができます。契約書を紙で交わすことも減っていくと思います。

Sansan:社員たちの名刺を共通管理して顧客管理できます。

Wantedlybosyu:人材募集と社長のSNSなどとの連携ができて若者の採用に有効な模様。

 

中小企業でITツールを入れるときの注意

 

業歴がながい会社で大切な視点として、最新ツールではなくて、評価が定まった各分野のNo.1ツールを活用すべきです。と、いうのもパッと出のベンチャー企業が開発した最新ツールは不安定でよく操作方法などが変更されます。それまでに仕組を革命的に変えることもありますが、多くの場合は不具合も多くてサポートも悪いのです。また、ベンチャー企業が開発している最新ツールはサービスが普及せずに無くなることもリスク視しています。上記のサービスや運営会社は10年後も存続している可能性が高いと思います。

 

更にNo1のシェアになって普及しているツール、いわゆる「デファクトスタンダード(業界標準)」とよべるほどのサービスでは、そのユーザー側にもノウハウや失敗例が蓄積していますから、業歴の長い会社は先行事例を教えてくれる人たちのを助けを得て導入をすべきというアドバイスになります。

 

ここからは雑感なのですが、社歴の浅い新興企業には、市場(安定売上)が無い状態なので、事務作業や間接作業に十分なコストや労力をかけることができず、また過去のしがらみも少ないことから開発されたばかりのITツールの力を積極的に活用するマインドセットが高いわけです。もちろん導入に失敗するリスクもありますが、そもそも、それ以前に市場創造(売上作り)という最も大きなリスクに立ち向かうために前のめりでバックオフィスなどの最適化をしながら進めています。

 

つまり、元気のいいベンチャー企業たちが先端ツールの人柱になってくれているので、老舗はその失敗の屍をショートカットして超えればいいのです。

 

一方で、業歴が長く役員や社員がシニア世代に差し掛かっている会社については、こうしたITツールを活用できるか否かが生産性向上のための経営課題だと思われます。長年の業歴のなかで出来上がった仕事の進め方があり、それを変えることには抵抗があります。第一、スタッフたちもスマートフォンやパソコン機器に強くないでしょう。

 

ただしその悩みは、多くの地方のローカルビジネスにおいては同業他社も同じで、この風土を変えることができれば競合会社にくらべて生産性の高い状態になり、あっという間に高収益企業に生まれ変わるのです。明確な課題が見えているという意味で、市場があるかどうかも分からず奮闘して赤字投資を掘り続けるベンチャー企業よりはるかに低リスクで、恵まれている経営課題と言えます。

 

本当は経理や総務と同列かそれ以上に専任スタッフを置くべきなのですが中小企業では採用は困難。そこで、ITツールのノウハウが溜まっている会計事務所と契約を検討してください。

 

長くなりましたので、ここまで。

 

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中小企業にむけては、ここまで特に事業承継(事業再生)先に対するコンサルティングでは完全に勝ちパターンが定まってきており、上記のITツールの導入、それに合わせて業務を再設計して変えていくことに努めて、大きな手ごたえを感じている昨今です

 

※某社(製造業の年商5億)では、数年前に数千万円の赤字でしたが今では億単位の営業利益です。また、某社(建設業の年商3億)でも業務改善し、4億円の借金が1億になりました。更に某社30億円では会計のクラウド化から業務システムの改善をすすめて残業削減効果抜群です。そのうちセミナーや研修会で披露できればと思われますが、各論はおいておき、総論としてお勧めは会計事務所ユニークスと税務顧問契約やコンサルティング契約をしていただくことです。集中的に業務改善している時期は社員1人分の人件費程度のコンサル料をいただきますが価値があります。