消費税が8%から10%に増税される件が現実味を帯びております。

私はてっきり「なんだかんだ言っても延期になる」という意識でいたのですが、住宅ローン減税の改正(10年→13年)など増税手当の拡充策が具体化するなかで、「どうやら今度こそ消費税は増税されるようだ」と実感して、クライアントと対策を話し合うようになりました。

 

 

不動産・建設・工務店業界においては、前回増税時に旧税率を適用させるための駆け込み需要が旺盛であった記憶があたらしく、年度末を跨ぐ受注状況に大きな影響がありそうです。

 

前述の住宅ローン減税がどうやら当初5年延長と言われたものが、3年となり、なおかつ11年目以降は「建物価格の2%相当×1/3」と「住宅ローン残高×1%」の小さい方になるそうで、期待していたよりも「ショボイ減税策」となりそうです。よって、駆け込み需要は前回並みに大きくなると私は予想します。

 

なお、物件売買を行い、非課税売上割合が低くなる法人は要注意です。仮払消費税は全額が仮受消費税から控除できるわけではなく、以下の算式が原則です。今月は、この式を訪問時の説明で覚えていいただくようにしています。

 

納税する消費税 = 仮受消費税 ー 仮払消費税 × 課税売上割合

 

つまり、一時的にでも土地売買(非課税売上)などにより課税売上割合が変動する場合は、かなりの金額の納税額がスキーム次第で変動しますので、物件が動く場合には、事前にしっかり税理士(=私)とスキームを検討してください。

 

また、日常的に消費税増税影響が大きいのが、NPOや医療法人などの非営利法人です。これらの法人格で事業を営んでいるクライアントでは、収入の多くは非課税である一方で、支出の多くが人件費を除いて課税取引ですから、増税をまったくお客様(消費者)に転嫁することができずに、コストが2%アップになります。

 

こういった点を予測して次年度の予算策定をしておかないと、特にNPOは大変です。そもそも消費税の増税の影響について、気付いていない運営者が多く、次年度の予算前提に消費税アップの影響を織り込んでいないケースが多数かと思われます。

 

医療法人は、全国で5万4千法人があると言われていますが、そのうち4万5千法人は「一人医師医療法人」で税務は顧問税理士だよりということが多いのでPL影響をきっちりお話ししておかないとならないですね。大きな医療法人ではもともと控除対象外消費税額が大きい特性なので、よく対策も話し合われていると思いますが。

 

なお余談ですが、私も再生関係業務は助成金を利用するケースが多いのですが、補助金や助成金の場合は金額が「税込100万円」と決まっています。

 

税率が8%→10%にあがっても金額をアップしてくれる訳ではないのです。これって、大企業が下請けに消費税の転嫁を認めない問題(下請け虐めとして違法とされる)と何が違うのでしょうか・・?

 

・・ということは、県や市の助成金に頼るソーシャルビジネスなども同じ境遇ですよね、消費税が弱い物に厳しい課税ベースと言われることを実感します。

 

お問合せはこちら

CONTACT